ツクツクボウシの鳴き声を聞くと夏の終わりを感じますね。この記事では、ツクツクボウシの鳴き声の”なぜ?”に迫ります。
- ツクツクボウシの鳴く時期・特徴は?
- ツクツクボウシの鳴き声が変化するのはなぜ?
- 鳴き声(サビ)を文字にするとわかることは?
など、鳴き声の変化のパターンについてメロディ(サビ)を文字起こししながら解説します。
ツクツクボウシ鳴き声の”なぜ?”
ツクツクボウシの鳴き声の”なぜ?”を
- セミが鳴く仕組み
- ツクツクボウシの鳴き声とは
の順番で説明します。
セミが鳴く仕組みは?
セミが鳴く仕組みは、腹部にある「発音膜」を振るわせて大きな音を出すから。
「発音膜」があるのはオスだけで、オスがメスに自分の居場所を教えるのが鳴く理由です。
オスは力強く・旋律的に鳴くことでメスを引き寄せます。
ツクツクボウシの鳴き声とは?
ツクツクボウシの鳴き声の”なぜ?”は2つあります。
- ツクツクボウシはパートに分けて旋律をつけて鳴く
- 近くで鳴く同種のオスの鳴き声に”合の手”を入れる
ツクツクボウシの鳴き声がパートに分かれているのは、メス蝉へアピールするためです。ライバルのオス蝉よりも特徴的な鳴き声を出すことで、メスに見つけやすくなると考えられています。
もうひとつ、近くで鳴くオスの鳴き声・主鳴音(しゅめいおん)に対して合いの手「ジュー!」「ギッ!ギッ!」と鳴くパターンもあります。
この合いの手は他のオスへの妨害音という説もありますが、裏付ける研究成果は見つかっていません。
ツクツクボウシ鳴き声のサビを文字にして検証
ツクツクボウシ鳴き声の変化を文字にして検証します。
- ツクツクボウシの鳴き声「イントロ」
- ツクツクボウシの鳴き声「サビ」
- ツクツクボウシの鳴き声「エンディング」
- メロディーを1つにまとめたフルバージョン
の順番で、ツクツクボウシのメロディ(イントロ・サビ・エンディング)を文字に起こしました。
ツクツクボウシの鳴き声「イントロ」
ツクツクボウシの鳴き声は「ジー」から始まります。
ジーーーー・・・・・・
抑揚や音程に変化はなく、一定のパターンを続ける連続音タイプ。発音時間はおよそ3~7秒です。
続いて「ジジジジ・・・ジュワジュワ・・・」とサビへ向かって早くなります。
ジジジジ・・・ジュワジュワ・・・
ツクツクボウシの鳴き声「サビ」
オーーーーシッ!
ツクツクツクツクツクツクオーーーーシッ!
ツクツクツクツクツクオーーーーシッ!
ツクツクツクツクオーーーーシッ!
“ツクツク”の回数が徐々に減っていくのが特徴です。メスが近寄ってくるかどうかは、このサビにかかっています。
ツクツクオーーーーシッ!
を20回前後くりかえしながら、鳴き声は早く・短くなっていき・・・
いよいよクライマックス
ツクウィーーヨーーーッ!
ツクウィーーヨーーーッ!
ツクウィーーヨーーーッ!
ツクツクボウシの鳴き声「エンディング」
ツクウィーーヨーーーッ!
を数回鳴いて、
ジーーーー・・・・・・
メロディーを1つにまとめると

ジーーーー・・・・・・
ジジジジ・・・ジュワジュワ・・・・・・
オーーーーシッ!
ツクツクツクツクツクオーーーーシッ!
ツクツクツクツクツクオーーーーシッ!
ツクツクツクツクオーーーーシッ!
ツクツクツクツクオーーーーシッ!
ツクツクツクオーーーーシッ!
ツクツクツクオーーーーシッ!
ツクツクオーーーーシッ!
ツクツクオーーーーシッ!
ツクウィーーヨーーーッ!
ツクウィーーヨーーーッ!
ツクウィーーヨーーーッ!
ジーーーー・・・・・・
ツクツクボウシとは
ツクツクボウシとは?を詳しくまとめています。
特にツクツクボウシの特徴がわかると、ヒグラシ・クマゼミ・アブラゼミ・エゾハルゼミ・ニイニイゼミ・ミンミンゼミなど他のセミとの見分け方に役立ちます。
ツクツクボウシの生態
ツクツクボウシは北海道から沖縄まで分布する、カメムシ目セミ科に属するセミの一種。大きさは約3cmで、翅(はね)までの長さは4~4.6cmの中型の蝉です。
ツクツクボウシの時期
成虫は7~9月に平地の雑木林から山地にかけて現われます。ツクツクボウシが鳴く時間帯は1日中ですが、夕方ごろが一番鳴き声が大きいようです。
灯火に飛来する性質が強く、街灯の下に落ちていることもあります。
ツクツクボウシの特徴
複眼は黒褐色。体には黒色の地に暗い緑の”W字型”模様があり、表面には金色の細かい毛が生えています。
腹部の形は長い紙風船のようで色は半透明、翅は透明です。雄・雌は同じ大きさですが、雌の腹部の先はとがっているので雌雄は見分けやすくなっています。
抜け殻は小型でほっそりしていて、色がうすい淡褐色。触角は7節で毛が少なく(第4節が第3節よりもやや短い)、木の幹や枝で見つかるでしょう。
おもにサクラ・ケヤキ・マツの樹液を吸っているのが特徴です。
ツクツクボウシの寿命
ツクツクボウシも含め、セミは地上に出てから1週間程度しか生きられないのが通説ですね。
しかし2019年、岡山県立笠岡高等学校の学生によって“羽化後のツクツクボウシの寿命は最長で26日間”であることが証明されています。
ツクツクボウシの英語表記
ツクツクボウシは英語で「cicada(シケーダ)」といいます。学術名「Meimuna opalifera」は英語ではなくリトアニア語です。
ツクツクボウシの正式名称を厳密にいうなら、和名は「ツクツクボウシ」、学術名は「Meimuna opalifera」、英語は「cicada」になります。言い方がたくさんありますね。
ツクツクボウシの漢字
ツクツクボウシの漢字は「つくつく法師」「寒蟬」。
「寒蟬(かんせん/かんぜみ)」とは”秋に鳴くセミ”の意味で、ヒグラシやツクツクボウシなどを含みます。
「つくつく法師」の”法師”は鳴き声”ツクツクボ-シ”からとった当て字。ツクツクボウシの名前の由来は鳴き声からきていたのです。
ツクツクボウシの季語
ツクツクボウシの季語は、季節が秋・分類は動物です。
ツクツクボウシの別名「法師蝉(ほうしぜみ)」は初秋の季語。歌の中では「寒蝉・つくしこいし・つくつくし・つくつくぼうし・おしいつく」などと表現されます。
「身にちかく あまりにちかく つくつくぼうし」種田山頭火
「また微熱 つくつく法師 もう黙れ」川端茅舍
「今尽きる 秋を つくづくほふしかな」小林一茶
俳句だけでなく百人一首や和歌でもツクツクボウシは詠まれています。
「女郎花(おみなえし)なまめきたてる 姿をや 美し佳しと 蝉の鳴くらん」源俊頼
「入相の 鐘より暮れて 秋行くを つくづくをしと 蝉の鳴くらん」小林一茶
「この世をば つくづく憂しと 鳴き捨てて またいかさまに 身をばかえけむ」香川景樹
ツクツクボウシ鳴き声のなぜ!サビを文字にしてパターンの変化を徹底検証!まとめ
ツクツクボウシの鳴き声の”なぜ?”を文字に起こしてみることで徹底検証してきました。
- ツクツクボウシの時期は7月~9月
- 鳴き声のサビは最大のアピールポイント
- 鳴き声はどんどん早くなっていく
夏の終わりにツクツクボウシ、この記事を見ながら鳴き声を聞いてみてくださいね。
※ 参照『つくづくツクツクボウシ』
『神戸市教育情報ネットワーク』
『岡山市におけるツクツクボウシの発生時期と地域温暖化の関係』