オリンピックで近代五種がはじまりますね。5種目を1人でおこなう過酷な競技なのに、知名度が低過ぎて「キング・オブ・マイナースポーツ」といわれている競技です。
この記事では、そんなマイナー競技に興味を持ったあなたに向けて、近代五種の競技ルールや仕組み・得点(採点)方法をわかりやすく解説していきます。
※ 近代五種のルールもまた「キング・オブ・わかりづらい」です。1回目は簡単に読み流し、2回・3回と読むことをおすすめします。
オリンピック近代五種とは?
近代五種とは、
- 一人で5種類をおこない順位を決める総合競技
- 5種とは「フェンシング・水泳・馬術・射撃・ランニング」のこと
アスリートの総合的な能力を競うオリンピック複合競技です。
近代五種を考えたのは誰?
近代五種を考案したのは、近代オリンピックの父と呼ばれるピエール・ド・クーベルタン男爵。
敵陣を突っ切って自軍まで戦果を報告することを命令されたフランスの騎兵将校が、馬で敵陣に乗り込み(馬術)、途中の敵を銃と剣で討ち倒し(射撃・フェンシング)、川を泳いで渡り(水泳)、丘を越えて走りぬけた(ランニング)
19世紀ナポレオン時代の故事
この故事を元に、古代五種(レスリング、円盤投、やり投、走幅跳、短距離走)の近代版として創設されました。
近代五種の歴史・競技人口
近代五種の歴史は長く、1912年のオリンピック ストックホルム大会から実施され今年で109年目になります。
一人で「フェンシング、水泳、馬術、射撃、ランニング」の5種目をこなす過酷さから「キング・オブ・スポーツ」とも呼ばれ、おもにヨーロッパで人気があります。
日本では圧倒的マイナースポーツで、国内の競技人口は約30人です(世界の競技人口は約500人)。
5種類の競技を一つの会場でおこなうのは、この東京オリンピックが初めてです。
近代五種の特徴・見どころ
近代五種の最大の特徴は、一種目ごとに順位が大きく変動すること。
5種目すべてが得意な選手はいません。
フェンシングの成績が良くても水泳で順位を落としたり、馬術で結果が出なくてもレーザーランで逆転するなど、最後まで勝負の行方がわからないのが見どころといえます。
近代五種のルールをわかりやすく解説
近代五種のルール説明の前に3点。
- 現在は射撃とランニングを合わせて「レーザーラン」としている
- 国際大会では個人戦と団体戦があるが、オリンピックでは個人戦だけおこなう
- 東京オリンピック近代五種の参加人数は72人(男女それぞれ36人/男子近代五種と女子近代五種)
この3点を踏まえた上で、
競技の順番
- フェンシング ランキングラウンド
- 水泳
- フェンシング ボーナスラウンド
- 馬術
- レーザーラン(射撃+ランニング)
を36人が争う設定で説明します。
※ この時点で見た目が5種じゃなくなって非常にわかりづらいのですが、もう少しガマンして読み進めてみてください。
フェンシング ランキングラウンド
特徴
1分間一本勝負の総当たり戦。剣先で相手の体に触れると勝ち。当たり判定の有効面が全身の「エペ」方式でおこなわれる。
ルール
勝率70%を250点とし、1勝あたり6点増減する(ちょっと何言っているかわかりませんね)
得点計算方法
1勝・・・プラス6点、1敗・・・マイナス6点
参加人数は36人なので一人当たり35戦おこないます。
勝率70%とは25勝すること(35×0.7=24.5/小数点以下切り上げ)です。
例えば、A選手が25勝10敗で終えたとすると得点は250点。B選手(29勝6敗)なら274点(250+24)、C選手(20勝15敗)なら220点(250-30)となります。
水泳
ルール
200メートル自由形。2分30秒を250点とし、1秒あたり2点増減します(0.5秒あたり1点も同じ意味)
得点計算方法
例えば、A選手が2分8秒62(128.62秒)のタイムでゴールした場合。
基準の2分30秒(150秒)より21.38秒(150-128.62)速かった。なので43点(21.38×2=42.76/小数点以下切り上げ)が加算され、A選手の得点は293点(250+43)となります。
同様に、B選手(2分13秒16でゴール)なら284点(250+34)、C選手(2分41秒10)なら227点(250-23)です。(ついてきてますかー!)
フェンシング ボーナスラウンド
特徴
30秒間一本勝負の勝ち残り戦。ランキングラウンド順位で下位になった選手同士から試合を行い、上位選手と戦い続ける勝ち残り戦です。
ルール
1勝するとプラス1点
得点計算方法
例えば、ランキングラウンドで最下位だったD選手(5勝30敗/130点)が、このボーナスラウンドで自分以外の35人全員に勝って勝ち残った場合。得点は35点になります。
ランキングラウンドとボーナスラウンドの合計がフェンシングの得点になるので、D選手の場合フェンシングの得点は165点(130+35)です。(ここまででやっと2種目です)
馬術
特徴
別名、貸与馬による障害飛越競技。試合開始20分前に抽選で馬があてがわれます。
選手は馬主から借りた馬(貸与馬)の性格や特性を聞きますが時間が足りません。馬の気性やクセを十分に把握できないまま、ぶっつけ本番をむかえます(選手も馬も本番で初めてコースに出る)。
ルール
規定時間内に12個の障害物を15回飛ぶこと。1個の障害物を2回飛ぶ(ダブル障害)、1個の障害物を3回飛ぶ(トリプル障害)を含むので合計15回になります。
得点計算方法
300点満点からの減点方式。馬が障害物を飛ばない・飛んでもバーを落とす・選手が落馬するなどで減点されます(最も運要素のある競技です)。
レーザーラン(射撃+ランニング)
特徴
射撃と800メートル走を交互に4回(4セット)を繰り返す。
これまでの得点をタイムに換算(1点=1秒)し、トップの選手からタイム差で順番にスタート。例えば、得点トップのA選手と2位のB選手の差が7点だった場合、B選手はA選手が出てから7秒後にスタートします。
ルール
射撃は、10メートル離れた標的に5回命中させるまで打ち続けなければならない(制限時間50秒)
ランニングの走行距離は800メートル。
射的と800メートル走を4セット繰り返し、ゴールした順番が近代五種の順位になります(ここまでお疲れさまでした)。
オリンピック近代五種の日程・会場・放送はある?
東京オリンピック近代五種は、2日間にわけておこなわれます。
1日目はフェンシング ランキンググラウンドのみ。2日目は水泳・フェンシング ボーナスラウンド・馬術・レーザーランをまとめて一つの会場でやります。
日程と会場
1日目:フェンシング ランキングラウンド
8月5日(木) | ||
開催時間 | 種目 | 会場 |
13時00分 | 女子フェンシングランキングラウンド | 武蔵野の森総合スポーツプラザ |
16時30分 | 男子フェンシングランキングラウンド | 武蔵野の森総合スポーツプラザ |
2日目:女子近代五種(男子は7日、時間と開場は女子と同じ)
8月6日(金) | ||
開催時間 | 種目 | 会場 |
14時30分 | 女子水泳(200m)1組 | 東京スタジアム |
14時36分 | 女子水泳(200m)2組 | 東京スタジアム |
14時42分 | 女子水泳(200m)3組 | 東京スタジアム |
14時48分 | 女子水泳(200m)4組 | 東京スタジアム |
14時54分 | 女子水泳(200m)5組 | 東京スタジアム |
15時00分 | 女子水泳(200m)6組 | 東京スタジアム |
15時45分 | 女子フェンシングボーナスラウンド | 東京スタジアム |
17時15分 | 女子馬術 | 東京スタジアム |
19時30分 | 女子射撃・ラン | 東京スタジアム |
テレビ放送はある?
テレビの生中継はありません。J:COM(ジェイコム)で放送されますが録画です。
【JCOMテレビ放送スケジュール】
8月7日(土) | 19:00~24:00 近代五種女子(録画) |
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8月8日(日) | 19:00~24:00 近代五種男子(録画) |
オリンピック近代五種とは?競技ルール・仕組み・採点方法をわかりやすく解説!まとめ
オリンピック近代五種とは?から始まり、競技のルールや仕組み・得点の計算方法をできるだけ簡単にわかりやすく解説しました。
「キング・オブ・スポーツ」を制するのは一体どの選手でしょうか?
その前にもう一度「キング・オブ・わかりづらい」近代五種のルールを確認しておいてくださいね。